これはデトロイト・テクノの本である。本書の半分近くがハウス、そしてその起源のファンクやソウルの丁寧な解説に占められているのは、それがデトロイトの歴史をつまびらかにするとき避けては通れない道だからである。<P> デトロイトのサウンドが、距離的にも近いシカゴのハウスシーンにいかに触発され、その後一個の「デトロイトブランド」として独立するに至ったか、その過程が国内屈指のデトロイトマニア、野田努の丹念な取材により詳細に描かれている。<P> ただしディスクガイドは無し。実用的というよりも長い物語を読む心地である。本書を最も楽しく読めるのは、ハウスの歴史、そしてなによりもデトロイトの歴史を知りたいデトロイトマニアであろう。ちょっと高過ぎるのが玉に傷。
テクノこそソウル・ミュージック、持たざる者としてのレベル・ミュージックであると気づかされる、テクノを聴く者の必読書。ソウル、ファンク、ディスコといったブラック・ミュージックがいかにして、ハウス、デトロイトテクノへと変貌を遂げていったのかが筆者の丹念な取材・調査によって明らかになっている。この本を(あっという間に)読んでから、Pファンクをかなり聴き込みました。
これはテクノとハウスのファンは必ず読んで欲しい。例えば、「UR、 MAD MIKE、DERRICK MAY, JEFF MILLSは知っている」と、コアなファンを装っていた人でも、面食らう。JUAN ATKINS、KEVIN SAUNDERSONについて熱く書かれているし、私自身は納得がいく。この本の素晴らしいのはテクノ前夜からマッドマイクたちの雄志、ハウス音楽のあれこれをしっかり把握できる。しかも、あやふやに終わることがない。はっきり分かる。分厚い本ではあるが、すぐに読み終えてしまいました。