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| フリーターという生き方
(
小杉 礼子
)
フリーターという言葉が人口に膾炙して久しい。本書は、若年雇用問題の専門家である著者が、フリーターと呼ばれる若者の実態はいかなるものか、なぜそれが増えているのか、それは問題なのか、どのような対策が求められるのかを、一般読者に対して、さらにはあたかもフリーター当人たちに語りかけるかのごとく、平易に論じたものである。 本書の特徴の第一は、フリーターの多様性へのまなざしである。フリーターという言葉を、仮に「15~34歳で学生でも主婦でもない人のうち、パートタイマーやアルバイトという名称で雇用されているか、無業でそうした形態で就業したい者」と定義すると、その数は実に200万人を超えると推計されるが、その中身は実に多様である。著者は、自らが中心となった日本労働研究機構のヒヤリング調査から、(1)モラトリアム型、(2)夢追求型、(3)やむを得ず型、というフリーターの3類型を導き出す。(1)は豊かな社会を嘆く評論家たちの描く若者像に、(2)は我々が駅前で目にするバンド少年・少女たちの姿に、(3)は長引く不況のなかで就職難にあえぐ若者たちの姿にそれぞれ対応している。それぞれに、フリーターになる理由も、働き方も、将来像も、必要とされる対策も異なってこよう。 本書の特徴の第二は、上記のようにフリーターの多様性を認めつつも、総じて、フリーターを生み出す社会、安易にフリーターになろうとする若者たちに、強い警鐘を鳴らしていることである。著者は、正社員として就職せずに学校を離れていった者は、職業能力形成の面、適職探索の面、将来的な収入の面で不利益をこうむる可能性が高い現実を指摘する。そして、自ら進んでフリーターになろうとしている者に対しても、行政・企業・学校が連携して、在学中のキャリア探索支援など適切なサポートを施すべきであると主張する。
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