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広告都市・東京―その誕生と死 ( 北田 暁大 )

「広告都市」とは何ぞや? 広告都市としての東京はいつ誕生していつ死んだのか? 読む前には全く内容に関するイメージが湧かず、しかしながら(評者と同世代である)著者の最近の論壇等での活躍を見るに、ぜひ読んでみたい一冊と考え手に取った。<P>社会学の書物(そしてその一種独特とも言える著述の展開スタイル)に慣れている方は、すんなりと読みこなせるかもしれないが、不慣れな評者は、読み進みながらそのスタイルに次第に馴染み、ある種の共感および共通経験を感じつつ、読了することが出来た。<P>この本の前半は<P> ・現代社会に生きる「個人」がいかに、「都市」を舞台とした「広告」に取り込まれてきたか<BR>その過程ならびに構造を、映画「トゥルーマン・ショー」や、パルコを中心とした渋谷公園通りの発展過程に題材をとりつつ、解析・描写していったものと受け取ることができる。<BR>そして後半では<BR> ・今、「広告」は必ずしも「都市」を舞台とする必要がなくなり、<P> ・また「都市」も「広告」に舞台として求められるようなオーラを喪失しつつある<BR> ・そして「個人」もまた、「都市空間」を媒介としたつながりでは不足を感じ、相互交換すべき「情報」そのものの<BR>  媒介によるつながりへとシフトしてきている<BR>   (都市に存在するあらゆるものも、その「情報」のネタの1つとして取り込まれつつある)<P>これらのことが広告都市としての東京を死に至らしめている、と解析・叙述していると受け取ることができる。<P>この本の読み手の方が、日常生活の中において、都市・広告・コミュニケーションといったものに対して何らかの違和感を感じている方であれば、この本が示唆するものは少なくないと感じる。<P>ただ(著者もあとがきで若干触れているが)<P>著者と異なる世代(ならびに、東京に対して著者と異なる距離感を保ってきた人々)が、この本で述べられたのと同様の状況をどう受け止めているのか?  その叙述が今後複数出てきて、本書の叙述に対する対立軸として確立し始めると、本書に対するよき刺激となろう。<P>現状では、著者との共通環境(世代、東京への距離感 etc.)が、内容理解および評価にあたってある程度必須になっているような気がしてならない、この点が残念である。

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