本当に訴えたいことを孕んでいる文章の力強さよ!<BR>そしてまた、小説より奇なりどころかミステリーも真っ青、度が過ぎてあわれなコメディですらある行政の決め事たちよ。愕然だぜ。<P>「一人で温泉」なんてことの似合う年にもなり、さてと、どこへ…と思っていた矢先に出会った本。<BR>その旅の方法、行き先、目的、今一度リセットです。
本当に温泉を愛しているからこその説得力のある文章。著者の気持ちがひしひしと伝わってきます。本物の温泉愛好家だからこそ読者である私たちに本物の温泉を教えてくれる本です。これを読んで、新たな目線の温泉ライフを楽しめそうです。
「温泉教授」と呼ばれる松田先生の、こみ上げる怒りが、ひしひしと伝わってきました。温泉めぐりがブームとなり、ファンが増え、温泉施設が続々と誕生すればするほど、「本物の温泉」がなくなっていく悪循環。レジオネラ菌問題に端を発して、循環式浴槽や塩素注入が一般的になり、「本物の温泉」にまでそうした対策を求める行政。温泉文化を愛し、守ろうとする人たちの思いとはかけ離れた流れが進んでいく現状に声高に疑義を呈する教授の姿勢に、共感を覚えました。東京都心のど真ん中に「天然温泉」施設が続々とできていく状況を、これまで微笑ましく見ていたのですが、この本を読んで怖くなりました。温泉利用者が施設のあり方の理解を深めて、しっかりと「本物」を探していく努力を惜しんではいけないんだ、という決意を抱かされました。