広告代理店に勤める薫と乃梨子は同期入社の総合職、2人は1人の男性郁夫を好きになる。薫が郁夫と結婚し退職し、彼女は主婦として、乃梨子はキャリアウーマンとして道を歩み始める。<BR>2人の人生を交互に描き、お互いの中に自分の別の人生を見続けていく作品、誰もがよく考える、もしあの時違う道を選んでいたらを考えさせる、テンポの良い作品
いつもは本を読んでもなかなか読み進められないのに、今回は一気に読んでしまいました。結婚をする道を選んだ女と、しないことを選んだ女のそれぞれの生き様が描かれていてまるで自分の人生をシミュレーションしているようでした。文中の「もし、あの時ああしてたらって、自分のもうひとつの人生を勝手に想像して、それに嫉妬してしまうの。何だか、いつも生きてない方の人生に負けたような気になっていたの。人生はひとつしか生きられないのに。」という言葉が印象的でした。
一見、対照的な二人の物語です。でも本当はそうじゃない。<BR>お互いがお互いの人生を少し軽蔑して、少し羨んでいる、<BR>歩く道は違っても 人の人生を見つめる女心は同じ。<BR>途中までは「どっちの人生も悲しい」って思いました。<BR>女が生きるってことは少し悲しいんだ、と。<BR>でも60歳のとき「振り返って一番後悔していること、それは自分が<P>選んだことなのに後悔してしまったこと。」という言葉は本当に<BR>胸に来ました。人生は悲しくない。<BR>自分自身がその人生を信じてあげさえすれば。そう思う一冊です。