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現場の変革、最強の経営 ムダとり ( 山田 日登志 )

 目次を読んで、広くビジネスマンに向けたトヨタ生産方式を活用した指南書と期待して、手に取りました。<P> トヨタ生産方式の説明に留まらず、オフィスにいるホワイトカラーに対しても、「ムダとり」の余地があることを示唆しています。その示唆の内容は、従来から言われていることが多く、またトヨタ式ならでは・・・という点はあまりないように思いました。<P> 生産技術や生産工学、トヨタ式などは、繰り返し行われる作業や仕事(いわゆる大量生産やルーチンワーク、マニュアル作業)のムダを最小限にし、問題や改善余地(得てして効率化)があればその場の作業を止めることも厭わずに改善していくことにより、その精度が向上し、さらに求められるスピードで対応が可能になる「経験による技術」なのだと思いました。<P> 本書は製造業におけるものの見方考え方を示している点では有益です。しかしオフィスワーカーに対する示唆に関しては、当然役に立つ内容ではありますが、言い古されていることが多いように思いました。 

従来型の「少品種大量生産」においても、生産性向上に有用な方法が記載されております。決して、現在の不況だから、デフレの時代だから有用な方法ではありません。<P>ただ、昔は生産拡大化を歩んでおり、ベルトコンベアーを使用していても問題は顕著化しなかったため、多くの会社がこの本のようなやり方をする必要性を感じる度合いが小さく、「ムダ」があっても会社の「体力」でしのいでいけました。<P>しかし、現在の生産縮小化に伴う「多品種少量生産」においては、ベルトコンベアーを使用することにより発生する「作りすぎ」「仕掛品」「在庫」が会社の利益に大きな影響を与えるようになります。<P>私が勤めている会社には、ベルトコンベアーはありませんが、「作りすぎ」「仕掛品」「在庫」を抱えてしま!う設備を稼働させており、同様な問題に悩まされております。<P>幸いなことに、この本を読み3つほど改善できそうなことを思いつきました。それは、今まで当然と思われていた作業です。<P>しかし、今考えればそれは単なる「ムダ」でした。

この本は「トヨタ生産方式」についての本ですが、オフィスワーカーの生産性について多く言及しているところがユニークなところです。工場の生産性がどんどん向上していくのに比べて、オフィスでの生産性が上がらないことが日本の産業社会の問題点の一つであると言われています。この本は「トヨタ生産方式」の思想が、オフィスの生産性向上にも大いに役立つことを示しています。

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