冒頭の「人は死ぬ時、愛されたことを思い出すヒトと愛したことを思い出すヒトとにわかれる 私はきっと愛したことを思い出す」気分的にかなり複雑でした。中原中也物語?を思い出し(死に際に妻ではない人の名をよぶなんて!!!男っていったい・・・)。この本もちょっとそんなニオイがプ~ンとしたけれど、ちょっと違いました。 「再開が意味しているものはつねに人生を振り返るという行為である。」・・・とか。。。サラサラと読めるわりには誰しもが1度は考えたことのある言葉にしない思いをサックと言い切ってみてくれたりと、自分の人生を少しばかりシンクロさせて後悔してみたり、前向きに考えてみたり。わずかな時間でタイムトラベルできちゃいますよ★
死ぬ前に人は愛した事を思い出すか、それとも愛された事を思い出すか。この本の主題となる言葉ですが、はじめは陳腐としか思えませんでした。読み終えたとき、真剣に考える事ができる言葉だと思います。第一部の好青年では、女性として男性の優柔不断な汚い部分を覗いたような感じが拭えません。卑怯としか言えないし、許せません。しかし、第二部の沓子からの手紙を読んでいくと、すべて間違ってはいなかったのだと思うことができると思います。同時に二人のことを愛してしまった事がある人には共感できるのではないでしょうか?
読み始めて中頃までは、主人公である「豊」の煮え切らない態度や卑怯なやり口に、同じ男性として同感する部分もありつつ、とても苛立ちを感じた。しかし、最後の方になると、主人公2人の時間を超えた愛に感動することしきり。人生において「迷い」「後悔」がどれ程無意味なものであるか考えさせられました。