面白かった。この辺のことは、押さえとかねばなあ、と思う。裏の金融の世界。といっても、ある意味、スタンダードだが。オサマビンのソマリアの麻薬組織と石油を絡めたマネロンの一説には、妙に説得力があった。・海外の銀行から利子をうけとっても確定申告のない給与所得2000万以下のサラリーマンなら年間20万円までは雑所得として申告が免除されyている。年5%の金利がつくとして他に給与以外の所得がなければ、4000万までの預金は実質無税になる。あるいは、収入のない専業主婦の名義で口座をつくれば、年間38万円いの基礎控除の範囲内なら税金はかからない。両方を使えば、1160万までは税金を払わずに運用できる。【幻冬社】
一言で言えば経済小説と推理小説を掛け合せた本です。それもアンダーグラウンド的な金融がテーマであるため普通の金融の本では学べない知識を得ることが出来非常に面白いです。内容は展開が速く、それもダイナミックでグローバルな舞台上で展開されるためいつの間にか夢中で読んでいる自分に気付きます。最近購読した小説の中でもダントツに面白かったです。
国際金融サスペンスというジャンルが存在するかどうかは別にして、思わずのめり込む味わい深い一冊だった。香港と東京というアジアの二大金融都市を舞台に、暗澹とした人生をおくる主人公が、哀しい過去を持つ人々の「金」を巡る事件に関わって行く。ストーリーを盛り上げているのは、これでもかと押し寄せてくる専門的な金融用語とノウハウである。これ以上は理解できないのではないかという不安心理を読者に与えながら、テンポの良いストーリー展開で飽きさせずに最後まで読ませる。主人公が持つ「金」に対するどこか醒めた感覚は、現実の日本人にも共通した一種の厭世観とも感じられ、鋭いリアリティを加えている。日本経済が再生してしまう前に、リゾートではなく香港か東京のコーヒーショップで読むのが最高ではないか。