「競走馬私論ー馬はいつは走る気になるか」の文庫本である。少しタイトルが変わっているが同じ物なのでそこは注意する必要がありそう。実際、私自身が続編かと思って買ってしまったから。それはさておき、久しぶりに読み返してみて、今現在もリーディング・トレーナーを続けている藤澤調教師の言葉に触れられたのは大変良い刺激になった。深く感じたのは、藤澤調教師が「俺は自分が思ったようにしたいから調教師になった。だから思うとおりにする」と開業当初に厩舎職員に告げた言葉である。リーダーは、自分志をハッキリ言葉に示す必要があるということ。心に閉まっておくなんていうのはきっとダメなのだろう。「馬にナマクラはいない。馬が人の言うことをきかないのは、馬がダメなんじゃなくて人がだめなんだ」という言葉も印象深い。そして、いつのまにかセンセイと呼ばれている自分が慣れてしまって馬の検査をしたかどうかを忘れてしまっているくだり。競走馬を育てる話であるが、部下を育てたり、組織を動かしたりする上での基本を教えてもらったようにも感じた。競馬ファンの方は勿論、管理者の方々にもお薦めです。
今年のダービーの舞台に3頭を送り込む現在競馬界No.1の藤澤調教師。<BR>競馬社会の外から単身渡英した下積み時代から、<BR>帰国後の調教助手時代に感じた本場とのギャップ。<BR>そしてルドルフとの出会い、厩舎開業からの努力、海外挑戦と、競馬界きっての知性とセンスに溢れる藤澤調教師の純粋な馬への思いが書き綴られている秀作です。<P>藤澤調教師らしく何よりも馬中心の内容ですが、時折登場する、岡部騎手や関西の雄・森調教師など、ニャっとする話も。<BR>シンボリ牧場や、大樹ファームとの関係など馬主と調教師の関係など、馬券だけ買ってたら分からない人間模様などもあり必読の一冊です。