よく「足腰が弱くなる」という言葉を使うが、これは足腰が弱くなるのではなく「背筋力」が弱まることなのである。人間の身体のなかで腹筋と背筋は「腰」を守るかなめの筋肉、「ニクヅキ」に「要（かなめ）」と書いて腰という字になるが、まさしく身体の中の要の筋肉なのだ。老化（３０才代前半から始まる）とともにまず最初に衰える筋肉が背筋で、その後、腹筋が弱くなる、それに伴って（原因で）腰が悪くなる、すると下肢（足腰）への負担をともなう軽度の運動（徒歩が少なくなり車の利用など）もつい億劫になりがちになる、こうなると、実際に「足腰」が衰えてきたような感覚になり、老人になるまで腰痛に悩まされ、整形外科通いを余儀なくされるのだ。本書は腹筋のトレーニング本だから、腹筋を主体にトレーニング法が説明されているが、表裏一体の筋肉群である背筋にも、その重要性とトレーニング法が説明されているところが評価できる。背筋、腹筋は鍛えておいて損はない、「家庭にあるもの」を使って手軽にトレーニングできる方法が書かれているし、もっと本格的に鍛え直したい諸氏には、ウエイト・トレーニング法も記されている、年を取ってから腰痛に悩まされたくないと思う人には必携の書だ。