本書は中小規模の会社のトップ(資料内では社員300人以下と定義づけられている)に対して事業の競争力を収益力を高めるためのアドバイスを実行のステップと合わせてまとめたものだ。個別の経営手法やノウハウが解説されているのではなく、具体的にどういうことをすればいいのか、現場の動きをひとつひとつ丁寧に取り上げ、実際はどのようになることが多いのかを現場間に溢れた筆致で説いている。<P>著者は複数社の事業再生を成功させている筋金入りのプロである。頭と理屈で出てきた文書ではなく、自らの経験を濾過して語られている言葉が綴られている。煌びやかで美しい事例も実は載っていない。傍目には目新しいことは語っておらず飄々を書き上げているが、全体に太い筋が一本通り体系だっていてずっしりと重い。こういう資料はありそうでなかなかない。
この本は「自分が所属している企業を変えたい」、「事業部を変えたい」と思っている人が、実際に役立つ方法論、考え方を身につけるのに役立ちます。複数の企業の改革を実践した人が、そこで得た経験から導き出せた知恵を、時間軸できっちりまとめてあるので、大変分かりやすく、実践しやすい内容です。<P>組織の変革を行う考え方や事例の参考文献としては、これまでMBA系の経営学や大企業で成功した社長の話が一般的だったと思います。しかし、これらの本の内容を自分の企業や事業部にあてはめようとした時に、内容が抽象的すぎたり、規模が大きすぎたり、美談の部分が多かったりして、一企業の社員や部門の幹部からすると距離感がある内容になりがちでした。<P>しかし、この本は300名程度の中小企業や大企業の事業部クラスの変を中心に論じているため、非常に身近で納得感があります。実践を繰り返したところで得られる知恵を、企業の変革のプロセスにそって紹介しているので、これから会社を変えたいと思っている人にとって、理解しやすく、実践しやすい内容です。<P>紹介されているプログラムはズバリ役に立ちます。社員とのコミュニケーション、改革チームの作り方、財務指標の見方、モチベーションの維持の仕方等が明快に注意点付きで紹介されています。明日からでも実践できます。
企業を変えていこうという管理職の立場にある人も一読されることをお薦めるします。私も特に企業再生に携わっているわけではありませんが、なにげなくこの本を読んでみると”企業改革”に必要なステップも非常にわかりやすく書いてありました。もちろん企業再生という状況にあった筆者が書いてあるので、手法的にはトップダウンで書いてありますが、自分の権限を持っている管理職の人であれば少なくとも自分の担当部署内でも応用できると思います。