ピーター・F・ドラッカーの書籍は、沢山出版され、財界人に高く評価されている。<P> ドラッカーは、デール同様、経営管理者の仕事は本質的に人々に命令することではなく、むしろ、いろいろなマネジメント職能に貢献させることである。ドラッカーは、経営管理者を明らかにするための基準は、職能への貢献の責任であり、権力よりも職能が決定的な基準であり組織の原理であらねばならないと言うのである。しかしながら、デールとは対照的に、ドラッカーは、マネジメントは、価値、慣習そして信念の伝統に根付いた社会的職能であり、そして行政的、行政的システムを基準にする社会的職能であると言うのである。<P> 一般的に、経営管理者が効率的に仕事を遂行するためには、マネジメントの原理を理解することが必要であると言われているのである。これに対して、ドラッカーは、マネジメント技能についての知識の獲得によって、個人は、たんに技術者になるだけであると言う。ドラッカーは、経営管理者の仕事の理論を実践に翻訳することの難しさを確認していたのである。デール同様に、ドラッカーは、現実と理想との区別をほとんどあるいはまったくしなかったのである。
20数年前にドラッカーの著書「抄訳マネジメント」に出会いました。<BR>今では赤線がビッシリ、付箋だらけ、空白部分は書き込みで一杯、表紙はボロボロです。<BR>「座右の書」という言葉がありますが、私にとって正に「座右の書」といえるものです。<BR>今回、あらためて本書を読みましたが「基本と原則」が変わる事が無い事を再認識しました。<P>ビジネスマンとしての私のバックボーンを支えるものです。<BR>如何なる本を読んでも、如何なる難問に突き当たろうとも、私の基本的なスタンスは一貫しています。<BR>私にとっての憲法です。<BR>20数年たった今も、そして、これからも。
マネジメントの大家、ピータードラッカーの「マネジメント-課題・責任・実践」から重要な部分を抜粋した「エッセンシャル版」である。その題名のとおり「基本と原則」を体系的にまとめあげた良書である。私と同様、ドラッカーを味わうために「手ごろな一冊を」と買った読者は多いはずだ。<P>その内容は非常に高尚で、また基本原則を列挙することでマネジメントというコンセプトを体系化しているために、身近なケースや多くの実例をもとに書かれている他の本とは一風変わった独特の格調の高さがある。ある種、教科書的な読み物であり、哲学的な力強ささえ感じられる。経営学を専攻する学生などドラッカーファンであれば、たまらないであろう。<P>この本を読むときの注意点は、ここに書かれていることが如何に現実の身近な我々の諸問題とオーバーラップできるかであろうと思う。体型化された理論は美しく見栄えはよいが、実ビジネスの中でそれを生かすことができるのは、読者の力量によると私は考える。そこがこの本を「良書」とするか単なる「教科書」とするかの分かれ目であろう。