この本を初めて読んだのは、ビジネススクールに留学していたときでした。当時は、「読みにくー」と思って敬遠していたのですが、卒業してからはガラリと見方が変わりました。<P>今では、ヒトにまつわる調べごと(OBに限らずHRMでも)があるときには、真っ先にこの本に当たります。要するに、幅広い分野を中立的な観点から紹介するというのがこの本の役割なのでしょう。つまり、通読するものではなく、必要に応じてトピックごとに読んでいくスタイルが適していると感じます。<P>この意味において、常に手元に置いて何度でも読み返せる好著です。ある経営理論が生まれた歴史的背景を説明しているところも見逃せない良いポイントでしょう。
とりあえずなんとなく興味を持って読むだけでも、非常に面白い本。文章が丁寧で、読者に検討して、分かって、遊んでもらうための工夫が盛りだくさん。ただ何か目的意識を持って読もうとすると、意外と使い方に迷う本でもある。<P>実務的な知識を身につけるには、少なくとも独学で読むだけでは不十分だと感じられる。文中には実務上の具体例も多いが、あくまでもそれは概念を説明し、実感させるためのものであって、有効な応用を促すようには出来ていない。ケースもない。この本で概念を学んだ後、授業でディスカッションをしたり、ケースを検討したりするのが最も有効だろうが、それなしでこの本を実務に生かすのは容易ではない。<P>行動科学に専門的な興味を持つ人には向かないだろう。記述には必ずしも学!的厳密性はないし、専門家が知るべきテクニカルな内容にはあまり触れられていないと感じる。定量的な裏づけや、個別の研究なども紹介されていない。
最近いい本にめぐり合っているがこの本もその一つ。構成が、組織の中の個人、集団、組織のシステム、といった形で個人から組織の話になっていくのでとてもわかりやすかった。いわゆる精神論ではなく、理論、実例、論文等から組織行動を述べているのでとても説得力がある。引用文献リストがありがたい。個人的にはチームを理解するところが参考になった。人間の間のコンフリクトというのがネガティブではなくポジティブな効果がある、という点がとても参考になる。<BR>国際協力等のプロジェクトを実施する上で、本書とProject Management InstituteのPMBOKをあわせて読むとプロジェクトマネージメントの全体が理解できるのではと思った(PMBOKの弱い部分を本書が補えるように思えた)。