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問題発見プロフェッショナル―「構想力と分析力」 ( 斎藤 嘉則 )

問題発見と問題解決は表裏一体、コインの表裏のようなものだ。身近な例で考えても、何が問題かがはっきりすれば解決策はおのずと出てくる事って多くない?ところがビジネスになると、ソリューション志向とか言って、勝手なノウハウを振り回して煙に巻いていないか。”問題解決のカリスマ”と呼ばれる筆者をしてこの本を書かせたのは、実は自然な流れなのだろう。あるべき姿が描けないから、問題が何かがわからない。あるいは間違った問題設定をして、すぐに安易な解決ノウハウに頼ってしまう・・・。例によって著者お得意の豊富な事例で、平易に読み進む事が出来るが、その意味するところは、深くて熱い。

まずタイトルである「問題発見」が新鮮。問題を解決する前に、その問題が本当の問題なのか?この点を気づかせてくれるだけでも、読むに値する良書です。さらに、コンサルタントが分析のツールとして実際に活用している数多くのテクニックがわかりやすく説明されている「第3部問題発見分析編」も、自分の仕事の視野を広げる意味で非常に役に立つものばかりです。このパートだけでも十分に読む価値があります。

呆然とすることが多いのだが、さまざまな会社で「問題発見」が正しく行われていないことが多い。「問題発見/定義など常識」というのが一般的な感覚だと思うのだが、それがうまくいっていない現状は確かにある。IT の分野に限ってみても、導入したシステムのどこに問題があり、何を解決すれば良いのかをまったく把握せず、いたずらにミーティングを重ねている会社も多い。<P>本書は、会社が機能していくための「常識」とも言える「問題発見」の分野に「ツール」を持ち込もうとするもの。<P>構成面から見れば本書は非常によくできている。「問題発見」という概念およびその重要性を説明し、そして実際にどのように「問題発見」を行うかを説明する。紹介されるツールはメジャーなものばかり。既知のツールの新しい用法に気付かされることもある。<P>但し。紙面の都合もあったとは思われるが、各ツールの具体的な説明は、いまひとつインパクトに欠ける。同じような説明が何度も出てきたり、やや的外れと思われる説明もある。<P>もちろん、本書で説明される各種ツールについては読者側が既に知っていることも多いし、また本格的にツール自体の勉強をしようと思うなら、それぞれのツールに関する本を読めば良いだけの話。「問題発見」という体系の中で既存の知恵をいかに活用していくかというきっかけになる本だと思う。

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問題発見プロフェッショナル―「構想力と分析力」&nbsp;『問題解決プロフェッショナル「思考と技術」』の著者による続編。今回は「問題解決」の前段階となる「問題発見」にスポットを当て、そのTIPSと技術を、わかりやすい実例を交えながら解説している。 <p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;著者によると、我々がうまく問題解決できないのは、多くの場合、問題そのものを正しく認識できていないことに原因がある。本書の前半部分では、その問題認識を困難にする原因をいくつか挙げ、正しく問題認識するための心構えを提供している。たとえば第1部では、「『現状』に対する過度の驕りが、『現状』を直視する目を曇らせる」、「『あるべき姿』へのこだわりから、逆に『現状』が見えなくなる」、「このままの『現状』が続くと将来の『現状』がどうなるかを、客観視しようとしない」といった阻害要因を説明し、人々がなぜ問題を直視しようとしないのか、その理由を探っている。 <p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;そして、第2部では問題発見のための構想力を身につける、という目的のもと、「問題発見の4P」(Purpose、Position、Perspective、Period)を解説している。この4Pは、正しい問題発見のための重要なツールであり、4Pに沿って「そもそも何のために」、「いったいだれにとっての問題なのか」、「どの空間軸で問題をとらえるのか」、「どの時点での問題とするのか」と問いかけていけば、正しい問題認識に近づくことができる。 <p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;最後の第3部、「問題発見分析編」では、マッキンゼーでも使われているというMECEの手法や、トレンド分析、+/-差異分析、集中・分散分析、付加価値分析、CS/CE分析など、問題発見と解決のための分析手法が示される。問題解決の糸口となる問題発見の技術をわかりやすく、かつ具体的に示した良質なテキストである。(土井英司)
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