現役時代は憎々しい存在であった著者ですが、本書を読み終えて、バットを極めた職人として尊敬の念を抱きました。<BR>現役時代のイメージとは異なり、合理的かつ論理的な人であることが伺えます。<BR>特に、センター返しがバッティングの基本である理由の説明は、説得力がありました。<P>指導する立場として、相手を納得させるだけの自信と説得力、そのための論理性を持ち合わせることの重要性を感じました。<P>本書はタイトルのとおり、指導方法に関することも参考になります。<BR>その一方で、組織の一員として勝ち残るには、という視点で書かれた後半部にも興味を抱きました。<P>・ヘッドハンティングされるならば、はじめに切り捨てられるのも自分であるということを覚悟すべき<BR>このセリフは、打撃職人とし!!球団を渡り歩いた著者の実感がこもっています。<BR>組織で勝ち残るためには、自分自身を鍛えなくてはならないことを教えてくれた本でした。
この本は厳密にいえば、コーチング理論の体系からは外れている、しかしいくつか大事な点を指摘している本だと思う。その1つがプロ野球で実績を残した落合が、どのようなコーチングを良いとしているかを示している点だ。多くのコーチング本は、どちらかといえばコーチするほうの視点に立って書かれている。が、この本はコーチングを実際に受け、もしくはセルフコーチングを行ってきて実際に成果を出してきた経験をもとに、コーチングするうえで何がポイントとなるかを明らかにしてくれる。
何冊もあるコーチングの本を書店で流し読みしてみましたが、どうも枝葉末節的方法論に振り回されそうなマニュアル色の強い本も目立ち、何を読もうか迷った挙句、気まぐれに手にしたのがこの1冊。<P>読んでみると、氏の考え方は非常に論理性に富み、明快に現象を説明していて表現がわかりやすい。わかりやすいというのは、映像をイメージしやすいということだと思う。<BR>この人は頭がいいぞ。と思った。氏が「コーチング」について学習したのかは不明だが、文中で経験的に導き出されている結論や解説は、実は他の本で教科書的に書かれているものも多い。<P>私にとっては、なまじの研究者が書いたものより、説得力があった。<BR>プロとして身をもって、教えられる立場と教える立場を経験した結果、考え抜かれ!き出された話は、不思議とサラリーマンの事例中心で語られる他の書籍より、今の自分に調和するものが多いと思った。<P>これは、落合氏のスタンスと私の望む生き方や考え方が、けっこう重なる部分があるかもしれんと思ったことからかもしれない。<BR>とにかく、普通のコーチングの本よりある意味面白いのではないかと感じる。