子供向けに書かれた本ということでしたが、なんのなんの、これは今の大人にこそぜひ読んでほしい本だと思います。表現は平易ですが、平易な文章ほど中身の濃さがわかります。<P>一番共感できたのは「人間が忘れて来たこと」の章です。人間の差別をけしからんものだと思っても、それがどうしてなのかわからないと差別をなくすことができない。よく職業に貴賤はないといわれるけれど、それは、昔は職業で人間を差別してきたのでその考えを頭から追い出すためにいっているのだ。だから、学校でその話をされる間はまだ職業で差別される人間が残っているということで、それはとても恥ずかしいことだと思う、となだ氏は言っています。まさにそのとおり。<BR>身近で遠い自分のこころ、特に無意識についてわかりやす!く書かれています。自分の子供が大きくなったらぜひ読んでみてほしいなと思います。
なだ氏はもう70歳になるのだという。なだ氏の精神科医としての社会批評は(立花某氏などとは対照的で)個人的かつ若干甘いヒューマニズムにあふれており、青年期になだ氏の著作を読んだ世代としては感慨深いものがある。この本はなだ氏の単行本処女作ともいえるもので、1970年に発刊された。小中学生にむけて、なだ氏がやさしく心理学を説いたものである。驚かされるのは現在読んでもみずみずしい輝きを失っていない点で、人間の「こころのメカニズム」の普遍性を思い知る感じがした。決して難しい語句や他人の文章を引用せず、誰でもが感じる心の不思議(おばけはなぜこわいか、気分とはなにか、不安とはなにか、など)を好奇心旺盛な世代に興味をもたせるような語り口で書かれている。現代の頭でっかちな精神科医たちのしたり顔の著作に飽き飽きした大人にもおすすめ。
中学生の時にこの本と出会い、無意識の世界、自我の構造などといったいかにも難しい言葉で表される世界に興味がもてるようになった。文脈は非常に分かりやすく、小学生高学年から読める本。この本で”心”の世界に足を踏み入れてみては?