クルマ、衣服、パソコン、ビル…紙から原子力まで、私たちを取り巻くさまざまな「商品」を、廃棄・処分・再生という「静脈」産業の視点から見た、希有なルポルタージュです。<P>もちろん単純な「エコロジー」「リサイクル」の叫びではなく、佐野眞一氏らしい鋭い視点と綿密な調査で、さらなる消費のために都市生活から隠蔽されているゴミたちの現状が痛烈に伝わります。<P>1990~91年の連載記事を1993年の単行本化、1997年に文庫化ということで、著者の言うとおり「高速資本主義」の現代ですから、内容的は特に数字や法律をはじめとして古くなっています。<BR>しかし、その視点とメッセージはまったく古ぼけず、かえって巨大で切実な問題として目を開かせてくれます。<P>狭い国土の、また狭い都市部にひしめいて生!ている日本人―個人と企業―にとって、廃棄物の現状を知り、子孫にその対策を押しつけることなく解決策をとっていくことは、何よりも重要なことでしょう。本当に多くの人に触れてもらいたい一冊だと思います。<BR>インターネットなどで最新のアップデートもしたくなりました。
さまざまなジャンルの「ごみ」について書かれたノンフィクション。その種類は多岐にわたり産業廃棄物から下水、遂には動物、といったものまで取材の対象とされた。 最終章では、人間の葬儀場について論じられていたところは、非常に考えさえられた。我々が日常、ゴミと意識していないものまでゴミとしてもってきたところはさすがである。<P> 唯一の難点を挙げるとすれば、10年以上も前のレポートということもあり、現在の環境政策と大きく隔たりが見られるところだろう。しかしこれは環境問題に対する取り組みの早さととらえることもできるだろう。