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終わりなき日常を生きろ ( 宮台 真司 )

個人的な感想だが、宮台の著作で十年後も再読されつづけるのは本書ではないか。<BR>オウムというのは、まさに日本という国にとりついた悪霊が現出させた現象である。当時、この現象をめぐっては様々な議論がなされた。<P>その中で、宮台はこの現象を「神聖政治」の問題であると喝破したことは賞賛されてよいと思う。私が思うに、このオウムをめぐる射程は疑いもなく、戦前の天皇機関説論争にまで延びているのである。その血みどろの闘争に日本という国の宿阿がすべて凝縮されているのだ。そのパロディーが、まさにオウムではなかったか。したがって、最近の宮台が歴史的問題に肉薄し、天皇に恭しく敬語を使い、皇道派的振る舞いにでる前近代的な輩を激しく攻撃しているのは何の不思議もない。<BR>しかしこの問題は、宮台以前に、彼の師匠にあたる小室直樹や山本七平、あるいは松本健一らによって詳細に議論されてつくされている感がある。<P>また、「終わりなき日常」といわれるものは、高度資本主義がどうのというよりも、日本という世界から隔離された空間で現出する特異な政治的産物でしかなかったかもしれない。<P>確かに、都市を舞台とした性風俗をフィールドにすれば彼の右に出る者はいない。しかしことが歴史や政治となると彼の場所がどれほどあるというのか。十年後に読書に耐える本をこれからも宮台が出せるのか楽しみだ。

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