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| イタリア的考え方―日本人のためのイタリア入門
(
ファビオ・ランベッリ
)
イタリア料理を軽々しく「いためし」と呼んだり、イタリア人を「怠け者」だと勝手に思い込んでいる人間に強烈なパンチを与える一冊。<P>イタリア半島は古来より、サヴォイア家主導によるイタリア王国成立まで統一民族国家が存在したことがない(古代ローマは、都市国家から発展した帝国であって半島に限定した民族国家ではない)。よってイタリア人にはみずから「イタリア人」であるという意識が希薄だと著者は述べる。NHK講座で習うイタリア語が実は、トスカーナ地方のフィレンツェという特別な都市の言葉で、他の大多数のイタリア半島に住む人にとっては「外国語」みたいなものだということを明らかにしている。<P>またイタリアではドイツ系、アルバニア系、スロヴェニア系などのマイノリティーが多様!性の中で自らの生活様式を守りながら「イタリア人」として生活している事実を指摘し、コリアン系など外国人に対して閉鎖的な日本人にさりげなく批判を加えている。<P>何でもお上だよりの日本人と違い、マキャベリ、グィッチャルディーニなどの政治思想家を生んだイタリア人は、政府や政治家を決して信用しないというのは多いに学ぶべきだと思った。<P>他にもイギリス、フランス、ドイツといった西欧諸国になじんだ日本人に、イタリアという別の人生観、生活様式を営んでいる人たちのことがいろいろな角度で紹介されている。<P>ヨーロッパのもう一つのあり方「イタリア」を知る好著。
著者はヴェネチア大学卒、山口昌男氏の愛弟子で密教の曼荼羅を記号論で解釈する分野の専門家。バリバリのインテリである。専門的な用語や小難しい表現もあるが、日本人の持っている「イタリア論」を見事に打ち破る。第二章の終わりでは、テレビの影響力をもってしてもイタリアの方言文化を圧倒できないとあり、興味深かった。ステレオタイプが嫌いな人におすすめ。
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