実際の経営とかなり差があるとしか思えない。経営の本といいながら、実際に経営者が何をすべきなのか、彼の本からは見出されない。
すっかり経済の低成長が定着し新商品の上市のペースも鈍ったこと、あるいはリストラやアウト・ソーシングによって現場の実務知識が流出してしまったことなどを背景に、最近は日本でもソリューション・ビジネスやナレッジ・マネイジメントという言葉だけはかなり浸透した感がありますが、本書は、そのナレッジ・マネイジメント、そして知識経営がどのような思想のもとで、どのように推進されるべき概念のものか、実際にどのように活用されているか、などを概述しています。<P>前半は、観念哲学の概念論張りの説明で難しく感じるかもしれませんが、言語哲学のロゴス/パトスのような循環関係を持つSECIモデル、形式知/暗黙知をキータームを使っての説明は分かりやすく、知識経営とは何か、それを実践する為のプロセスや組織はどうあるべきか、などを全体的に見通すには最適の入門書です。
私もビジネスとは別の分野(国際協力)なのですが、とても面白く、参考になることが多かった。知識を第五の経営資源として捉え、特に知識創造のおける「場」の重要性、知識創造のキーパーソンである「ナレッジ・プロデューサ(著者はネーミングがとてもかっこいいですね)」の役割、資質など。具体性もあり、自分も「ナレッジ・プロデューサ」なろう、と思ってしまいます。多少理解しずらい箇所もありますが、新書でコンパクトなのがいいですね。