NHKの放送を見た時から心ひかれた人だ。イラストや写真の姿にも、のびやかで意思の強さを感じる。自分の生きかたを丸ごと受け入れることは惰性で見送ることとは全く違うことを教えられた。運命を神からの贈り物と捉える生きかたに感動した。魂のことばも読んだが、彼女の体感した痛み喜びがより色彩濃く塗り重ねられている。
全編にわたってほとんどがカラーで、彼女や彼女に関係のある人たち、物たちの写真であふれています。古いものを本当に大事にすることのすばらしさ、生きていく上で決して卑屈にならず、いつでも自分らしくいることの大事さ、そんな人たちの魂がどんなに美しいものかを教えてくれます。 <P> 「読む」と言うよりは「感じる」ための本です。彼女の悲しみも喜びも怒りも、そして生きる意味も全て感じられる本です。私にとっては、本棚の一番上の一番端にそっとしまっておいて、寂しいときやつらいときにだけふとページをめくる・…そんな存在です。(まるで聖書)
私は彼女の本から先に接してしまい、まだ彼女のピアノを聴いたことがありません。でも本を読んで、ますます彼女のピアノが聴きたくなりました。薄い本ですが、彼女のコレクションしているものたちや、彼女の絵、刺しゅうなども楽しむことが出来ます。特に彼女が自分のジャケット(CDではなく、着る方の)に施した刺しゅうなど本当に見事で、彼女は本人も言っているように、ピアニストとしてではなく、画家としても大成したと思います。<P>彼女の生い立ちは決して楽なものではなく、寧ろお母さんとの関係、日本にいてもドイツにいても「外国人」といったところなど、大変なところが多かったようですが、それを悲しむばかりでなく「今なら母の気持ちも分かる」<P>「私はいつも、ちょっとだけ仲間はずれのほうが気持ちがいい」<BR>などと、発想の転換がなされていて、そんなところからも学ぶことが出来ます。