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| アイルランド 人・酒・音―愛蘭土音楽紀行
(
守安 功
)
1990年代、まだアイルランドが日本から遠かった時代に書かれた、アイルランド音楽にまつわるエッセイである。著者はアイルランド音楽演奏家として有名。<P> 内容はかなり癖が強く、チーフタンズをはじめとする有名なアイルランド音楽演奏家のほとんどが偽物であるとして批判され、本物のアイルランド音楽とは何かという著者の信念が熱く語られている。<P> とはいえそこで語られている音楽観はかなり偏ったものであり、ほとんどの読者は違和感を憶えるだろう。またアイルランドに対する過剰なセンチメンタリズムも好き嫌いが分かれると思われる。<P> アイルランドに関する情報が少なかった時代の、センチメンタル&ロマンティック=アイルランド・イメージを追体験させてくれるという意味では歴史的な書物!であるけれども、これは「今のアイルランド」ではないという点は指摘しておきたい。
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