このところテレビでも取り上げられることが多くなってきたスペイン北部の巡礼路をたどって文章と写真で綴った一冊です。<BR> 著者はもともとテレビ番組の構成作家としてこの道の取材に携わり、今回本にするにあたって改めてカメラマンを伴ってこの道に足を運んだとのことです。<P> この本の終盤で著者は道で出会ったフランス人に問われます。日本にも独自の宗教があり巡礼路があるだろうに、なぜこのスペインで歩くのか?<BR> 著者自身はこうした問いかけに対して確たる答を返すことができません。この問いにあるような日本の巡礼路を歩んだ経験もないことを認める著者の姿が浮かび上がるばかりです。<P> この本の弱点はまさにこの点にあります。著者の立場は巡礼者なのか取材者なのか、はっきりとしていません。スタンスの定まらないどっちつかずの著者の気持ちがこの本を焦点の定まらないものにしてしまっています。<P> 巡礼者として歩くのならば、その道程で自身の心に湧き上がってくる変化の兆しを内省し、腹をくくって包み隠さず表現するという思い切りが必要でした。一方、取材者として歩くのであれば、他の巡礼者の心にもっと大胆に深く分け入っていくべきでした。そのどちらの過程も取らないがために、きれいな写真を幾葉も重ねただけの巡礼路ガイドブックに終わってしまったようです。ガイドブックとするにはホテルや交通手段などの旅情報が全然足りませんが。<P> あとがきにあるように著者には取材時に病に倒れていた父親がいました。かけがえのない家族の、まさについえようとしている命を強く感じながら、自らの越し方行く末を沈黙の行脚の中で静かに見つめる。巡礼はそのチャンスを著者に与えてくれたはずです。しかしチャンスを活かしきれなかったがために、心を力強く揺さぶるほどの巡礼の魅力をこの本にこめることができずに終わってしまったうらみがあります。
【スペイン巡礼の道】を、私の求める視点と同じ角度から表現してくれています。現代(近代)社会を生きる私達にとっても、強い勇気と新たなる糧をもたらしてくれる素晴らしい本です。
Yesterday is history,Tomorrow is mystery,Today is a gift.<BR>素敵な言葉ですね。<BR>現在私も最愛の人と共に、<BR>新たな生命の誕生のために癌と闘っております。<BR>明日は未知だけど、それは自分で創っていくものかもしれませんね。<BR>素敵な本でした。