伊坂幸太郎の新作。変わらず素敵な作品だ。作者らしい登場人物逹が悪意ある出来事に巻き込まれ、それぞれの方法で乗り越えていく。単純な正義感でも善意でもないやり方で決着をつけていく内容は気持ちがよい。<BR>鳥葬を選択した彼の哀しさと決意と人の良さが心に染みる。<P>章と章の間のギミックや、広げた伏線が気持ちよく收まっていくストーリーなど作者らしい仕組みが嬉しい。この世界に触れ再読すると初読では気が付かなかった深い視点から小説をさらに楽しめると言うのもこれまた嬉しい。ある作品の饒舌で洒脱な彼が一瞬に姿を見せるのもニヤリとさせられる。<P>聴いた事ないけどボブ・ディランを聴いてみたくなる。いま頃どこかの駅で誰にも知られず鳴り続けているのだろうか?<P>今年は『重力ピエロ』とこの作品の二冊を読めただけでも小説読みとしては幸せ。
それぞれの話の断片がどのように寄り集まり、収束するのか?<BR>伊坂幸太郎さんの作品の面白さに、パズルのピースがハマり、<BR>最後にひとつの話として収斂する妙味があります。<BR>本書は、現在と過去の話を交互に展開させ、それが徐々に<BR>シンクロして行くうちに、終盤でひとつの話として重なる<BR>というものでした。<P>ひょいひょいと意表を衝く行動に出る登場人物たち。<BR>噛み合わない会話にくすりとさせられながら、終盤のある箇所で<BR>おっ! となりました。<BR>うーむ、そういうことでしたかと、しばし呆然。続いて、にやり(^^)<BR>鍵となるパズルのピースがかちりとハマったこの瞬間、<BR>心地よい驚きを感じていました。<P>あとは……ソウデスネ<P>アジアの国ブータンの宗教観、日本と比べた人々の考え方の違いについて<BR>語られる件りも興味深かったです。作中で披露される蘊蓄話は、<BR>新鮮で面白いっ。不思議なセンスとウィットの利いた登場人物たちの<BR>会話とともに、伊坂ワールドならではの醍醐味かなと思っています。
その構成の巧みさ、登場人物達の人生の切なさ、展開のおもしろさ、<BR>驚愕のトリック、どれをとっても伊坂ワールドの集大成といっても申し分ない。<P>現在と2年前の話が章立てされて交互に語られる。<BR>少しづつ接点が語られてその対比が作品全体の切なさへの<BR>キーとなっていく。この二つの話はどうつながっていくのか?<P>常に先が気になる展開が続々登場するので全く飽きさせない。<BR>もちろん、伊坂作品のお遊びである他作品とのリンクも控えめだが<BR>あるのでお楽しみに。