モジュール化の大きなうねりが世界中を席巻している.過去20年に渡りIBM PC互換機の発展を目の当たりにしてきた者にとっては,それは大変強大で避けがたい波に見える.しかし一方で日本の車作りを見てみると,統合型アーキテクチャの製品も相変わらず強い競争力を保っていることに気がつく.モジュール化が我々にどのような衝撃を与えるのか,それに対処するにはどのようにすればよいのか,あるいはもっと積極的にモジュール化を経営に生かすにはどのようにすればよいのか?<P>この本は,モジュール化の長所と短所,産業や経営にもたらすインパクト,具体的な対応方法などについて,世界一流の識者たちの解説と意見がぎっしりと詰まった玉手箱である.今日の経営にとって,モジュール化の意味を知らないままでいることは致命的であり,そのインパクトの大きさは「イノベーションのジレンマ」に述べられた破壊的技術以上のものがあると言ってよい.多様な執筆者群の多面的な解説は大変参考になり,経営改革への刺激を与えてくれる.全てのビジネスパーソンにお勧めの良書,というより必須の教科書である.
モジュール化を学ぶための入門書として読むには、少し難しいかもしれない。しかし、モジュールの理解の決め手となる、設計情報の説明はとても詳しくされているので、とっつきにくいが、読んでしまえば、これほど分かりやすく説明された本は無いであろう。<P>本の中で扱われている中馬の半導体露光装置とNS旋盤のモジュール度による競争優位の違いを研究したペーパーはとても興味深い。<BR>なぜニコンのステッパーは近年世界シェアを落としてきたのか、またなぜ日本の工作機械、なかでもNS旋盤は高い競争優位を持つのかを、モジュールを使って説明した傑作である。
近年、経済学や経営学の分野で流行言葉のように使われる「モジュール化」について<BR>学者から実務家までが一体となってわかりやすく解説している。<BR>モジュール化と言えば、特にコンピュータ産業やソフトウェア産業が表に出やすく、事実、本書でもその分野を基にした解説は多い。<P>しかし、考察されていない業界にもモジュール化の考え方は応用できるものであるし、<BR>そのための示唆に富んだ内容となっている。<P>これだけ多くの示唆を含んだビジネス書は珍しいとさえ思う。<BR>そんな本が2800円程度で読めるのであれば、あらゆる人が読んで損はないだろう。