私達が日常お金を使う際の、無意識の流れをわかりやすく表現している。<BR>経済学と人の心理は、これまで切り離して考えられてきたけれど、<BR>そうだったからこそ経済の敷居は高かったのではないか、とも思える。<BR>その意味でとても身近に考えられるので、実生活にすぐにでも活かせる。
お金がらみの心理を分析し、読者に分かりやすく書かれた本は、<BR>これが最初だったように思います。<P>最近、文庫化されたので、<BR>まだ読まれていない方にはそちらをお勧めします。<BR>通勤・通学の間にぜひ!!<BR>「人はなぜお金で失敗するのか」(日経ビジネス人文庫)
「金持ち父さんシリーズ」のように、「お金持ちになりたい」という動機で読むためのハウツー本ではありません。私は、クリティカル・シンキングの本で参考図書に上げられていたために読んだのですが、お金という誰にとっても現実味のあるものを題材にしているので、クリティカル・シンキングがより良く理解できるという意味でとても面白い本でした。<P> 例えば「5駅離れた大型安売り店で、1万円のパソコンソフトが7500円で売られていたらあなたは安いオーブンを買うためにその店に出かけていくだろうか。では、同じ店で20万円のソファーセットが19万7500円で売られていたら、あなたはやはり五駅離れたその店に行くだろうか」という問いで、前の例にはイエスで後者にはノーの場合、あなたは「心の会計簿!」の間違いを犯しているのです。何故なら、これは本質的に同じ問題で、どちらも2500円得するためにその労力を使うかどうかということなのだから。<P> また、「婚約指輪は給料の2ヶ月分」という基準の宣伝に励んだおかげでダイヤモンド業界がいかに得したかの話(「錨おろし」)や、人がいかに「棚ぼたのお金」を浪費してさらに余計な出費すらしてしまうかの統計的な実例(ナチスの賠償金をユダヤ人の人たちがどう使ったか)の話も興味深い。<P> このように色々な例をあげながら我々の「心の会計簿」がいかに誤謬をおかすかが論理的に解明されています。株と投資にまつわる話が特に有益で、「損失の嫌悪」「つぎこんだ費用の誤り」「決定麻痺」は個人投資家は、是非心にとめておくべき話です。