この本が出版されていることは前から知っていました。本屋で能・狂言の棚に行けば、和泉元彌本に並んでおいてあるので(汗)<P> しかし、タイトルから言ってもカバーデザインから言っても、野村萬斎師の「タレント本」かなーと思っていたので、全然手にも取らないで過ごしてきました。しかし、先日地元の市立図書館に行って「芸術」の棚を見ていたら、置いてあったのです。ということで即借り出しました(笑)<P> 内容は「狂言と顔」「狂言と装束」「狂言と学」などなど、狂言に絡めたテーマを挙げての野村萬斎師のエッセイ集です。字が大きい上に、1テーマが3ページずつとあまり多くないので読みやすいのと、テーマに関係した野村萬斎師の写真が多くてステキです。<P> また野村萬斎師が主催してらっしゃる「ござる乃座」のパンフレットの文章を収録した「武司でござる」「萬斎でござる」というタイトルで採録されていて、萬斎師の狂言の芸に対する姿勢もうかがえて、思っていたより何倍も良い本でした(^^)(ちなみに武司は萬斎師の本名)<BR> …最近、狂言習いたい病にかかりつつある私には、ある意味毒だな、こりゃ。
まず、この本の帯(本の表紙の半分くらいの大きさ)には萬斎さんのどアップの写真がついてきます!!amazonの写真ではそれが出ていませんが、ファンにはとってもうれしいはず。内容の方は、一見大学入試で読まされるような論文調ですが、これがなかなかおもしろくて、この人は文才もあるのでは?と思わせるような内容ですよ。ものの例え方や表現がわかりやすいですし、芸に対する自分の信念等が熱く語られています。それがしっかり伝わってきて読んでいて気持ちがいいです。写真も多く挿入されていますが、どれも気合の入った写真ばかりです。今よりも少し若い萬斎さんをたっぷり見ることが出来ます!おすすめです!!
ひょんなことから、能楽堂に足を運ぶ機会を得て以来約ひと月、それ以来狂言について、知りたくなり読み始めての三冊目。いづれも同じ作者のものだ。そのため既に読んでしまった「萬斎でござる」・「What is 狂言?」に出てきたのと同じフレーズを繰り返し読まさせられているという感じがしないでもない。と私が言ったとしても、それは私の読んだ順番にも問題があるわけだし、作者の言わんとする趣旨が一貫しているということでもあるのだから、悪口にはならないだろうと思う。<P>にもかかわらず、本書に星4つつけたのは、本書における、「狂言」という伝統と、「サイボーグ」というモダニズムとを表すコトバを並列させたアイデアの面白さがひとつ。萬斎さん曰く、彼は物心ついたときから、父・祖父より狂言の型を「プログラミング」された「狂言サイボーグ」だそうだ。<P>そして、写真(絵)のきれいさ。本当にうつくしいとおもう。しっかりと型を身につけた狂言役者としての萬斎さんの姿がとてもきれいだと思う。スワリダコですら美しいと思う。写真のアングルも興味深い。<BR>愛蔵本という感じのする一冊。