「経営の神様」と言われた故松下幸之助氏は、家運の傾いた家に育ち、学歴もなく、健康にも恵まれなかった。しかし、この「ハングリー精神」を元に、その後の成功は目覚しいものであった。松下電器産業およびそのグループ企業の経営と、晩年の松下政経塾開塾は多くの人に衝撃を与え、手本とされてきた。「松下電器は人をつくるところです。」と語り、人間関係を重視していた。この書籍は、幸之助の人づくりの真髄に触れることが出来る。
松下幸之助さん(以下、幸之助さん)は言わずと知れた経営の神様で、日本の戦前から高度経済成長まで経済界を支え、その経営を見習った人の多さから言っても、幸之助さんなくして現在の日本はなかったと言って良いだろう。そんな神様と呼ばれ、いわゆる「松下教」を創設した幸之助さんであるが、この本の中には生まれた頃から晩年にいたるまでが自伝的に語られている。私は幸之助さんを大変尊敬し、彼に関するほぼ全ての本を読んできたが、幸之助さんの人生や生い立ちを知りたいのであれば、この本が最も良くまとまっていると思う。また幸之助さんのことをもっと良く知りたいのであれば、自身ではなく他の人から見た幸之助さんの本と併読するのが良いだろう。もちろん彼の著作からもその偉大さは十分に伝わってくるが、他の人が認めてこそ真の裏付けともなろう。外国では哲学者としても知られている意味が良くわかるようになると思う。