経営者のプロフェッショナルとはこういうものか、と感心しました。今までで読んだ経営者についての本の中で一番興味がもてました。さまざまなテーマごとに、判断に迷ったこと、それを解決していく過程、最終的な判断、と説明されている内容が、ひとつひとつ参考になります。<P> しかも、勉強も兼ねてすこし無理をして英語で読みましたが、知らない単語を読み飛ばしていっても筋としてはだいたいわかる程度に簡潔でストレートな表現でした。面白くて、多少ひっかかる部分も辞書を引く時間が惜しくて先へ先へと進んでいきました。とはいっても英語だとそうそう速読で読み飛ばすこともできず、それがかえって理解を深めてくれたような気もします。<P> 全部で5パートにわけられている構成の中で、パート1の冒頭の数章で語られる時間の推移にそった経緯は大体知っていることだったのですこしがっかりしました。もしかしたら新しい発見はないのではないか、という心配です。ここであきらめていたらおしまいです。パート2以降は、ご本人でしか書けない具体的な内容ばかりで、迫力が違います。多少マイナスに受け取られているようなことも率直に語ってくれます。<P>弱点を切るだけでなく長所を伸ばす”経営の判断”、”経営としての行動”の素晴らしい実例に触れたい方にお勧めします。
伊藤忠、日産自動車、IBMなど大企業がどのようにして復活してきたのかという点を顧みると、そこにひとつの法則性が見出せるような気がします。どの企業も財務のリストラクチャリングからV字回復の一歩を出発させています。資金繰りでしっかりと止血をしてから、IBMの資源をつかって競合に対してどのように優位性を築いていったかという、ひとつのケーススタディになっています。この本の中でガースナー氏は「実行」の重要性を何回もいっています。「実行」を重視する経営者はどのような行動をとるのかという点でもとても勉強になると思います。
最初に時間の流れに沿って、ガースナーがIBMで働くようになってから退任するまでの話が語られ、その後で戦略や企業文化などに関して彼の考えやIBMでの経験が語られるという構成になっており、非常に読みやすい。<P>IBMを変えていく時の豊富な経験が詳細に語られており、企業経営者はもちろん、企業で働く人間も読むべきだと思う。経営者が企業を変えようとする時にどのような事を考え、どのような点に苦労するのか、一般社員としてどういう行動をとるべきなのかが、この本から多少なりとも分かるのではないか。<P>読むにあたってITやビジネスの知識はほとんど必要ない。ガースナー自身がIT系企業出身ではないということもあってか、平易な言葉で語られている。