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環境ホルモン―人心を「撹乱」した物質 ( 西川 洋三 )

環境ホルモンの危険性を指摘するものが多い中で、本書は環境ホルモンが実はたいして危険なものではないということを論じています。本書を読むことで、考えが偏るのを避けることができるかもしれません。<P>また、環境ホルモン問題を問題に仕立て上げたのは、研究者、マスコミ、行政であるとして、著者は企業の立場から論じています。環境ホルモン問題において、問題なのは環境ホルモン自体ではなく、環境問題を扱う環境であるということを示唆しているおもしろい本だと思います。

数年前、マスコミで一時的ブームとなった環境ホルモン騒ぎを、化学物質の研究を専門とする著者が、冷静に分析しています。最も印象に残ったのは、責任ある立場の人が、危険だと無責任に言うことできても、安全だと無責任に言うことは出来ないということです。本書によれば、立花隆氏は一般大衆への影響力と言う面で見れば責任ある立場にありながら、無責任に危険であると言っていたということになります。それだけに、著者は責任を持って、環境ホルモンは無害だと言っています。もちろん、環境ホルモンによる害が発生した場合には、責任をとる覚悟の上でです。それだけ説得力ある内容だということです。

環境ホルモンという流行語に自分は踊らされたのか?<BR>マスコミ・行政・研究者がこぞってその危険性を訴えてきた(訴えている)環境ホルモンを別の視線からとられている。<BR>この本を読むことによって「本当に環境ホルモンと呼ばれる物質は危険なのか?」と一歩引いて考え直すきっかけになる。<P>しかし、それ以上にマスコミが伝える内容、研究者が発表する結論を疑ってみる必要があるということを痛感するはず。<BR>「環境ホルモンは有害ではない」と主張するこの本の内容全てを信じる人は、疑ってみることができないことを意味しているのでは?

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