この本の内容は、統計データと、データから読めること。固くなりそうなテーマなのに、興味深く書かれていて、すごいなぁ~と感激しました。企画としては「世界が100人の村だったら…」のパクリだと思いますが、ストーリーに関しては、オリジナルな切り口で書かれており、色々考えさせられました。
「世界村」と同じ企画であることは明々白々ですが「二番煎じ」とは感じませんでした。独自なアプローチで日本を解き明かそうとする姿勢には好感が持てます。様々なデータをわかりやすく簡潔に示し、しかしムードはアナログ的で直感的に新しい側面から「日本村」を理解できるよう工夫されています。<P> ただひとつだけ苦言を呈するなら各節において最後の部分で「分析」をした結果を解説して読者に”村”の「あるべき姿」や「そうであってはならない状況」を提示する必要があったのかどうか、大いに疑問です。ここの部分こそ読者自身が読みながらまた読んだ後で自らが考えて解答を引き出す、この書が果たさねばならない「使命」を背負っていた部分ではないのか、そう感じとても残念な気がしました。<P> しかしページをめくるたびに新しい発見があり、示唆に富む書であることは賞賛に値します。子供はもちろん大人が住み慣れた村をちょっと離れた丘の上から展望する、という具合で大いに楽しめる一冊でお薦めです。
第一に残念ながら、「世界村」本にあった精神性は「日本村」本では欠落していた。その精神性とは、砕いていえば「世界(日本)の『1人1人の人間』が幸せに生きれますように」とでもいうのだろうか。<BR>「日本村」本では、「日本村」という「集団」を良くしたい、という記述はあるのだが、そこに、「1人1人の人間」という視点はほとんどない。<P>第二に、「世界村」本が「人間の不幸」に対する「原因・遠因」たるデータ(土地利用、職業、予算等(英語オリジナル版も含む))を明確にしていたのに対し、「日本村」本では、とりあえずデータを羅列してみたという感を否めない。<BR>確かに、「日本村」では「世界村」と比べ、「際立った悲惨」が圧倒的に少ないのであるから、そのような記述は難しいのであろう。<P>しかし、自殺、国の借金、不況、少子高齢化、少年犯罪、教育の荒廃など多くの問題点があることは認識しているのだから、「『世界村』本と同じ視点に立って」、その「原因・遠因」を「データとして明確にする」、という努力をして欲しかった。