この名作に出会ったのは20年以上前,最初に買った本がぼろぼろになってこの新版を揃えました。表紙のイラストもまあまあで文字も大きくなりました。こちらはたまに読み返す用で、本棚には箱に入った永久保存版も買いました。映画も楽しみにしていましたが、アニメ版と同じくはっきり言って失敗作だと思う。途中で居眠りしてしまいました。この小説の面白さは台詞にあると思います。ストーリー自体は単純なもの。とにかくホビットの会話が楽しい。フロドの心を理解しているサムのキャラクターが大好き(映画では別人)。ホビットを守るアラゴルンの優しさは王としての素質・器を感じさせる。ひどい目に会いながらも決して仲間へのいたわりを忘れない9人の仲間,ボロミアは1部の最後で死んでしまいますが、2部からファラミアが登場。冒険の始まりと友情の始まり、この第1部が大大大好き。
第一部最終巻である。モリアの坑道の難から逃れ旅の仲間はロスロリアンの森に至る。迎えに来たハルディアは言う。「なるほど世の中には危険が満ちみちています。そしてあまたの暗黒の地があります。しかし美しいものもまだたくさんあるのです。そしていまや全ての国にあって、愛は悲しみと混ざり合っているのですが、それだけに愛はいっそう強まっているのかもしれません。」この森の描写のなんと美しいことか。神話世界が持つ言葉にならない美しさをトールキンは懸命に文字にしようとしたように思える。<P>旅の仲間がどこに向かうか決断のときがやってきた。指輪に影響されたボロミアはフロドに迫る。「我々は魔法使い諸侯の所有する力を望んでいるのではない。ただ自らを守る力、正義のための力が欲しい!だ。そして見よ!われわれの有事にさいし、たまたま力の指輪が明るみにでた!」防衛力は戦力ではない。「有事」の場合は特別だ。いつの時代も「力」に「誘惑」された人たちは同じことを言うのだ。そしてフロドは孤独な決断をする。映画では短いセリフで描かれたところだが、ここはやはり原作で読みたい。<P>「世界」はすでに描かれた。私たちは「世界」とどう対峙していけばいいのか。第二部に期待したい。
映画を見て、どうしても続きが知りたくなり、翌日には図書館に行って第二部を読みました。帰りに本屋に駆け込みました。最初から読み始めました。<P>第一部は映画で大体見た通りで(映画は最後の方で第二部冒頭まで進んでいます)、細かいところ、流石に時間制限でカットされた部分(何度も出てくる歌を歌うシーン、ガラドリエルの贈り物など=これらの一部はDVDの完全版に収録されています)は「こうだったのね」と確認しながら難なく読めます。原作の分量としては4冊であるこの第一部が一番長いので、実は映画を見て原作の第一部を読むと、量としては一山超えたことになるわけです。内容としては第二部でものすごく盛り上がるのですが。<P>この、第一部の途中ですが上2の最後に、訳者のあとがきがあります。ここで、第三部ラストに関するネタバレが一つあります。私は「そんなもんか」と思い、余りショックは受けなかったのですが、知りたくない人もいると思います。なるべくこのあとがきは後回しにされることをおすすめします。