原著である「Poems from The Lord of the Rings」を買い、「指輪物語」の該当する詩を抜き出して読んでいましたが、新たに日本語訳が出版されると知って早速購入しました。長大な作品にためらっていた人や、高価な愛蔵版に手の出なかったアラン・リーのファンの人にはお薦めの本です。詩と詩の間には簡単な説明もついており、原作の流れはある程度わかります。「Poems from The Lord of the Rings」とは挿絵の挿入の仕方は違っていますが、直接詩とはつながらない絵もあり、これはこれで構わないと思っています。版も少し大きく、アラン・リーの美しい絵が堪能できます。
『指輪物語』本編に登場する詩を抜き出し、詩を楽しむ本。アラン・リーの挿絵も美麗です。イギリス古典文学および北欧神話、ケルト神話を根源とする『指輪物語』では、「うた」「詩」が非常に多く挿入され、物語の雰囲気を盛り上げ、また味わい深いものにしています。(映画でも第1部では完全版DVDにサムが詩を作るシーンが追加され、第3部ではピピンとアラゴルンによる見事な詠唱が再現されました)長大な原作を読破するには、最初はそうした長い詩の部分は思い切って飛ばしてしまうのも手ですが、二度目以降は是非是非味わって欲しいものです。原作が長大すぎる、という方も、原作の大ファンという方も、詩そのものを味わい、また新たな発見があるかもしれません。