おそらく本書を手にする人は新撰組マニアでありましょう。入り口は沖田総司だったり土方歳三だったり、壬生義士伝でこの頃注目株の吉村貫一郎だったり、まあそれぞれ贔屓の隊士がいて、新撰組の知識が深まるのはたいへん結構。本書はそうした意味でも格好のガイドブックともいえる作品で、隊士各人のエピソードが読みやすく書かれています。一人の人物を取り上げて深く描き出すといった風とは趣が若干異なりますが、さまざまな人物像を通じて相対的に見なければ、新撰組を、ましてや幕末といったエポックを捕らえるのは難しいから。きっかけは何でも、興味の向いた先々へ手を伸ばし、書店を巡るのもまた楽しい事。知っている人物の名前が出てきただけでも、けっこううれしかったりするでしょう?エンターテイメントとしての新撰組は司馬遼太郎でも池波正太郎でも子母沢寛でも、読むべき作品はあまたあるのだから、本読みは病であるとわり切って楽しみましょうね。
近藤、土方、沖田、山南、永倉、原田、藤堂、斎藤といった新選組の剣客の生い立ち、生き様、そして死に様を書いた一書。新選組のファンなら思わず新選組の世界に引き込まれる。また、著者の隊士たちへの思いが伝わってき、読んだあとなんとも言えない思いが心に残る。新選組が大好きな私にとっては、大切な一書。