情報を受けるばかりの現代社会では、パブリックな場でのコミュニケーション能力が相当程度落ち込んでいる。<BR>不完全なコミュニケーションがストレスを生む。<BR>必要なのは「癒し」ではなく、エネルギーの開放である、というのが斉藤氏の主張。<P>本書は「マッピングコミュニケーション」方式による対話力の向上を提案している。<P>手は第二の脳だ、と言われるように、書き言葉の使用・視覚による文脈の確認は、口頭での会話の弱点を補う。<BR>おもしろいコンセプトです。<BR>基本的に前著「会議革命」とオーバーラップしますが、比重を一対一の対話に置いているのが本書の特徴。
対話術という題名だが、コミュニケーションを円滑にするために、メモのとり方、そのメモの提示の仕方を書いた本。<BR> 中心からキーワードを、関連付けにしたがって、結んでいく形のメモのとり方を推奨している。<BR> 言葉だけでなく、マッピングメモをとりながら、それを確認しながらコミュニケーションするとストレスのないコミュニケーションができるという本だ。<BR> とても読みやすく具体的でやってみる価値のある手法だと思う。
これまで著者が述べてきた実践的方法論全体のダイジェスト。これを読んでつまらなかったら、著者の他のどの本を読んでも似たり寄ったりでつまらないだろう。その意味で、これから著者の本を読もうとする人の分かりやすい試金石になっている。一つ提案すると、同じPHP新書の斎藤環氏の「社会的ひきこもり」と本書を突き合わせて、つまりマッピングして読んでみるといいと思う。これら二つのテキストの真価が吟味されるに違いない。著者が提起するコミュニケーションの実践スキルが、「ひきこもり」状態にどこまで有効なのか? また、著者のいう「暗黙知」と「無意識」(フロイト・ラカン)とはどう関わるのかも、きわめて実践的なレベルで問われてくるだろう。ただし、筆者がこれらの問いにダイレクトに答えることはまずないだろうが。<BR> 私もいつか、この作業をやってみたいと思っている。