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ベイズ統計学入門 ( 渡部 洋 )

いつかベイズ統計学を勉強しようと思っていたが、なかなか時間が取れなかった。幸い、自然共役分布や尤度関数のベイズ推論における使用方法について調べる必要が生じて本書を買ったが、首尾一貫した丁寧な説明により最後まで読み終えることが出来た。特に平均値と分散が未知の正規分布からベイズ統計の手法を用いて、平均値の分布としてt分布が出てくる過程は感動ものだった。

ベイズ統計学を中心トピックとする数少ない本のうちの一冊。ベイズ統計学に関する基礎的な内容が丁寧に記述されている。また、章末問題には詳細な解答が付属し、各章の内容を実感を持って理解できるよう工夫された問題で理解を深めることができる。<P>統計学教育の現状を垣間見るに、頻度論的な統計学を教えるのに精一杯でベイズ統計学まではとてもカバーし切れないという状況がある。そのような状況下でベイズ統計学を勉強できなかった人でも、独習できると思われるくらいわかりやすい一冊には間違いない。<P>しかしながら、「入門」の名を冠するだけあって、ベイズ統計学の応用上極めて重要とされるマルコフ連鎖モンテカルロ法についての記述がまったく無い。90年代におけるマルコフ連鎖モンテカルロ法の爡?発的流行とその革命的成果は、ベイズ統計学の文脈上決して無視できないものであるにもかかわらず、である。したがって、ベイズ統計学を本格的に応用しようと考えている場合は、各自マルコフ連鎖モンテカルロ法ベースの教科書を用いて補習する必要がある。<P>とはいえ、そのことはこの本の「入門」としての価値を減ずるものではまったくない。むしろ、上級のトピックは素直に上級書に回す、という点において入門役に徹しており適切な役割分担をしている、と評価すべき点なのかもしれない。いずれにせよベイズ統計学の応用を考える人が必ず通らねばならない一冊である。

頻度論的統計解析に慣れている人に、ベイズの考え方はなかなか理解しづらい。分布、尤度、積分とどんどん話が進んでいったのでは、数学的素養のない読者にとっては事後密度の形は卒倒しそうな形式になってしまっている。本書では、簡単な2項分布の例から回帰分析までを、順をおって丁寧に解説している。数式ではイメージできないような部分が例題で補われているため、なぜその式が重要なのかをデータ解析の例から知ることができる。ベイズを使ってみたい!と思った方が最初に読まれると良いのではないでしょうか。

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