表題作の叙情性と透明感は秀逸。それに分かるなぁ、あの「学校いきたくないな」っていう気持ちとかetc・・・。何だか分からない子供ながらの切なさ,ココロの痛み,今だったら「不毛感」とか「虚無感」とか名づけちゃうのかもしれないが,それだけでは捕らえきれない「ココロの想い」。著者の人生の実感から来る生きる事への深い眼差しと感受性は僕の中の「なんだろう,この感情は?」っていううつろいを鮮やかに物語にして,なぜかほっとするとともに切ない。~「子供の悩みなんて。大人の人生は厳しいんだぞ」そんな傲慢な事を時に思ったりもするが,子供の時はそれはそれで,逃げ道が大人より少ないから,そして子供だって立派な人間だからツラいんだよな・・・。ホント,表題作を掲載した「小学六年生」には感服。「ツラいよ」と思ってる子供が少しでも救われていれば,僕自身もなんだか嬉しくなるんだけど。西原エラい!
表題作をはじめ、子供の視点で描いた作品が集められています。映画化された「ぼくんち」に通じるある種の抒情性を持っているように感じられます。少年・少女期は、単純に純粋とは言い切れない、残酷さや複雑な気持ちを持っており、西原さんのエピソードで、かつての自分自身を思い起こして、何どもハッとしてしまいました。西原さんの今のギャグ漫画もそうですが、頭の中に閃いた瞬間、常識によって修正される前の感情を逃さず描いていると思います。それが、読むものに共感を呼ぶのだろうと思います。
ムスメが多感な時期を迎え、ややこしいだの分からないだの、愚痴や不満が出て来てしまう今日この頃。でもちょっと待って。私にも誰にでも、扱いにくい15の頃があったわけで、その気持ちを全然忘れてない西原さんはすごい。ムスメを見る目を少しばかり優しく出来そうな1冊。