漢字と言うものが古代の中国の生活の中から生まれ、その生活の匂いさえするものであるということが、私のごとき浅学の門外漢にも垣間見ることが出来た。<BR>引く辞典ではなく、読む辞典。<BR>見知ったあの字、私の名前のこの字、その由来を知るだけでも面白い。他人にもついウンチクしたくなります。
この字書は実証に基づく金文甲骨文字研究の成果を存分に取り入れた「現代の説文解字」というにふさわしい内容であることは、評価が定まっています。 凝縮した表現と当然に使用される学術用語。それらを前にすればこの字書を理解するために、さらに辞書をひくはめに。<P> 「漢字百話」や「漢字の世界」等を読んで白川文字学の前提を知って、この字書が言わんとすることが理解出来ました。従って、この字書を単純に手放しで褒めるのは、危険と思い評価は☆3個(これは内容でなく、読者を選ぶという意味です)。<P> 現在学習者向けに表現を分かりやすくした「字統」の編集が進行中と聞きます。著者が存命中に完成することを祈っております。
読んで楽しい、見て楽しい・・・というと軽薄すぎるだろうか。もちろん、超濃密な内容をもっている。本の好きな人、文字に興味のある人なら、ちょっと開いただけで「発情」すること間違いなし。文字は、かくも、神、祈り、祝祭、権力と密接な関係をもっていたのか! と痛感します。<BR>私は、暇なとき、この「字書」で、友だちの名前を構成する各文字の起源を調べてよろこんでいます。そして、その友だちに「講義」します。白川先生の、観察と記録の偉大なる集大成、ここにあり! ただひたすら感服!