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昭和史 1926-1945 ( 半藤 一利 )

昭和史の流れを押さえるのには適しているとおもうし、これから昭和史に関すして知っていく上での入口になるだろう。内容については、さすが昭和史に定評のある著者であり、流れに任せて一気に読み通すことができた。価格は買いやすい水準であり、もしビジネスマンなら、怪しいビジネス書を買うよりも本書を買うことをお薦めする。これで戦前戦中の昭和史に興味を持ったら、著者の「ノモンハンの夏」、「レイテ戦記」、NHK取材班編「太平洋戦争日本の敗因」シリーズ、「大本営の参謀の情報戦記」なんかを読んではいかがでしょうか。

著者は限られたスペースで、ファクトをていねいに追いかけている。固有名詞はもちろん、大切な言葉に必ずといっていいほどルビがふられている。読者に対する成熟したやさしさがにじみ出ているのである。<P>戦争にあけくれた昭和史の最初の20年を口語体で語っている。それはいったい何だったのか。日本人はその昭和史から学んだのだろうか。残念ながら、著者の結論は「ノー」と言わざるを得ない。まだまだ学び足りない。どうもまだ懲りていないと思われるのだ。<P>評者はおもうのだが。あの怒涛の1980年代、アメリカでは「新しい日本の植民地=アメリカ」が真面目に議論されていたころ、日本では「もうアメリカから何も学ぶことはない」という自信さえ語られていたのではなかったか。しかし、泡(バブル)がはじけてみれば、自信喪失の1990年代。そして、21世紀の今、自信喪失の延長としてともかくアメリカの言うとおりにしておこうという、自衛隊のイラク派遣へと続いている。<P>要は、日本の指導者、そして庶民も、地球的な文脈で、自分のおかれた位置を客観的にとらえるのが超苦手なのである。今も変わっていない。自分たちの超苦手を自覚しておかないと危ないことになる。だから著者は、国民的熱狂をつくってはいけないと言っているのだ。<P>自分のおかれた位置を測定できないのだから、熱狂や時の勢いでどこに進んでしまうかわからないのである。悪いことにマスコミがこれを煽(あお)ることによって熱狂はますます燃え上がる。半藤さんはよく見ている。日本の代表的な大新聞がこぞって戦争を煽っていた。すくなくとも、戦争末期はともかく、軍部に強制されてしぶしぶではなかったのである。戦争で新聞は売れたのだ。<P>限りある命は万人に平等である。誰でも幸せになりたい。自ら不幸を選ぶ人生はおくりたくないとおもうのは当然であろう。ひとりひとりが幸せになるために、現代の教訓として本書をすすめたい。

昭和という時代を流れで読ませてくれる。著者の考えが一方的だと感じる読者もいると思うが、当時いなかった人間として、できるだけ多くの資料を公平な目で見るためには有効な本のうちの一冊だと思う。自分としてはおもしろかった。

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