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国境の越え方―国民国家論序説 ( 西川 長夫 )

西川長夫氏の国民国家論についての主張がよく分かる一冊。<P>特に、解説で上野千鶴子氏も書いているが、「「 文明と文化 -その起源と変容」における「文明/文化」概念の議論はかなり面白い。昨今跋扈する「文明」の名の下に「敵」を「野蛮」と名指しして殲滅してしまう「思想」はどこから来たのか、あるいはそこからの「希望」はあるのか、を考える助けに必ずなるだろう。<P>個人的には著者の坂口安吾の読みが好きだ。「生存それ自体が孕んでいる絶対の孤独(坂口安吾)」と「私文化(西川長夫)」が通底すると考え思索を進める著者には、「国民国家論の立て役者」の一言では括れないものがある。

著者は、国境の越え方というタイトルを<BR>「本書の内容にしては立派過ぎる」<BR>と謙遜して述べているが<BR>その内容は圧倒的であった。<BR>国民国家論やナショナリズム、ポストコロニアリズム<BR>といったことを考える導入として<BR>この書は大きな助けになるだろう。<BR>また、この本に付された上野千鶴子の解説は<BR>非常に示唆に満ちていたということも付け加えておきたい。

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