淡々とした文章で続くツキコとセンセイの関係。しかし、それは、単なる「淡々」としたものではない。読み進めていくと、文章の流れはゆるやかであるが、現代を生きる私たちが忘れていた感覚をよみがえらせてくれる。また、その文章は、読んでいて、思わず笑ってしまったり、涙が出たりと、様々なことを思い起こさせてくれる、いわば、癒しの小説といってもいいだろう。
ツキコさんのキャラクターが、全く恋愛には向かない、<BR>さっぱりしすぎている性格で、<BR>そんな(きっと男性からはあまり「かわいい」とは言えない女性が)、<BR>気が付かないうちに深く激しい感情を募らせていく姿が、<BR>なんともかわいらしかった。<BR>今のとにかく連絡を取り合わなくてはいられない人間関係の<BR>対極にあるような2人の時間の経過。<P>「愛が育っていく」っていうのはこういうことなんだよな~と、<BR>改めて思う。
30代後半のツキコ、常識的でロマンテイックな事なあまり心が動かされない女性。人に期待しないことが寂しくも辛くもなかったはずだった。センセイへの押さえられないいとしいと想う気持ち。わたしの意見に先入観なく耳を傾け酔うとすることから出るセンセイのやさしさ。いつまでもいつまで二人のとりとめない会話に浸っていたくなった。尽きない相手への想いがさせるとりとめのない会話に。