純粋に読み物としておもしろい。<BR>もちろん、論文を書くためのマニュアル的な使い方もできるとはおもうが、大学教授の悩みの吐露、学生への期待などが、筆者の独特の言い回しで伝わってくる。<BR> この人の大学の授業は相当おもしろいのではないかと思わせる内容でもあった。しかし、この人に論文をみてもらうと、泣くことにもなりそうである。
論文の入門書。タイトルの割にはしっかりした本。初めて読む人にも論文がどんなもので、どんな姿勢で取り組むべきかが書かれている。問題意識の育て方、題材、主題、課題、タイトル設定の重要性など論文を進める上でのポイントが書いてある。また、論文を評価するポイントもまとめてある。「すぐ使えるフレーズ集」(pp.182-188)はぶっちゃけててなかなか面白い。著者は東大博士単位取得の新潟大学人文学部教授。
本質的に才能がないならば、その人は努力の人だ。努力の人ならば、できない人の気持ちも理解できるのだろう。そして、困難を克服するためにつちかった膨大な「実用的」ノウハウを獲得しているのであろう。著者は、論文の落第生であったと言ってはばからない。この本は、論文を書くということに不得手であった著者がその困難を自力で乗り越え獲得したかずかずの実用的、だまし(?)方などが満載のマニュアルである。論文で悩んだ結果かもしれないが、この本の目的は「論文の〈技術的な基礎〉」を教える、というはっきりした目的を持っている。読者としてもこれだけ目的のはっきりした内容ならば、間違って購入することもなく、無理なく読むことができると思う。最初に、才能がない云々書いてしまったが、それについては実際私に判断できるはずもない。この本に興味を持った人は、まず、あとがきを読んでみることをすすめる。著者の人柄やこの本の読みやすい雰囲気がとても良く伝わってくると思うからである。