たまたま本屋でみつけた「獄窓記」ですが、直接の面識はないのですが、選挙の時など同じ空気をすったことがあるだけに、山本譲司さんのことは気になる存在でした。えつ、本を出したのですね、という感じで買ってしまいました。<P>事件当事は色々な噂が乱れとんでいましたが、この本を読むといかにみんながいいかげんな情報をうのみにしていたかと恥ずかしさを覚えます。事件の言い訳の本かな?と思って読み始めたのですが、知らない世界の中での人間としての生き方を真面目に考えている譲司さんのことが伺われて、とても感動しました。また看守の方たちや、刑を受けておられる方々も温かい人間身のある方も多くいて、やっぱり人間はいつでも向上心はあるのだ、またどんな状況におかれても、人間の尊厳とか、人としての使命とか、とてもいろんなことを考えさせられました。元国会議員だからとだけでよくされたわけでもないと思いたいです。やっぱり譲司さんお人柄がみんなに良くされたのだと思います。<P>本当に自分に厳しく律している譲司さんのこれからの活躍を期待したいと思いました。これからが譲司さんのスタートです。本を書いたことで、ご自分の中にくすぶっていたものがふっきれたのではないでしょうか。譲司さんの力を充分発揮して、これからの日本のために働いてください。
著者のことは逮捕に至るマスコミ報道で知っていただけで、また政治家が悪いことをしているなぁという程度の認識しか持っていなかった。新聞の書評を見て、ふと購入する気になったのだが、期待を遥かに上回る読み応えのある一冊だった。<P> 逮捕に至る過程での葛藤。そして、入獄してからは受刑者や看守との日々のやりとりの中で生じる喜怒哀楽が、衒うことなくとてもリアルに表現されていた。障害を持つ受刑者の下の世話をする場面でも、著者の息遣いが間近に聞こえてくるかのようである。マスコミ報道に乗じて、安易に勧善懲悪の図式を受け入れてしまう私たちには、その裏にある等身大の人間を知ることの大切さを改めて気づかせてもくれる。他の方も述べておられたが、大げさではなく「夜と霧」現代日本版としての価値も十分にあると思う。
この本を店頭で見たときには、「山本穣司? そういえば、秘書給与のごまかしで逮捕された議員がいたなあ。金にまみれた元政治屋が何を言い訳しているのかのぞいてみよう」という意地悪な動機で購入した。<BR> しかし、読んでみてびっくり。<P> 詳しくは書けないが、身体障害者の受刑囚の介護を行う寮内工場での刑務作業を通じて、筆者の魂が浄化されていく過程が丁寧に、そして感動的につづられていたのだ。<P> また、刑務所内で知り合った様々な囚人や刑務官の描写もよく書けており、主要な登場人物が「キャラ立ち」しているのもよい(ただし、刑務官については少し甘い印象があると感じた。刑務所側も元国会議員である著者の処遇には配慮している様子がうかがえる)。<BR> さらに、刑務所が運営されているシステムについても通読すれば、一通りのことは理解できる。<P> この本は、『夜と霧』や『イワン・デニーソヴィッチの一日』と並ぶ「監獄記録文学」の名作であると思う。淡々とした記述のなかから漂う文学的な香気、そしてある種の哲学すらある。<BR> 特に、政治家や福祉の仕事を志す若者には是非読んでもらいたい。<BR> 蛇足。本書を読む限り、著者は罪人ではあるが決して悪人ではない。