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お母さん、ぼくが生まれてごめんなさい ( 向野 幾世 )

この本は、やっちゃんという一人の障害児を通して、障害児を取り巻く環境を浮き彫りにしています。自身が置かれた環境に、著者は自分のこととして真正面から向かい合ってきた結果が非常によく伝わってきます。この著者にしか書くことのできなかった本です。<P>私はこの本を一番大切にしたい本の一つに迷うことなく選びたいと思います。この本を粗末に扱うことは到底不可能です。私がこの本を読み終えるのにほぼ二ヶ月以上かかりました。涙を家族に見せずにいるためには就寝前の僅かな時間に読むしか無かったからです。この本の価値を文章で表現できる技量は私にはありません。ただ、読んでみればこの本の価値を感ずることができると思います。

この本には、”やっちゃん”という一人の脳性マヒの男の子の詩で日本が揺れたことが綴られています。<BR>私にはこの事がテレビに出ただとかそんなことはわかりません。<BR>私にはこの本にただかかれたことしか知りません。でもこの詩が確かに水面に石を投げたのです。<P>この時代、障害者に偏見が強くもし障害者が生まれたら「あの家では何か悪い事をした。」と噂し、自分の家の子どもには「悪いことをしたらあの子のようになっちゃうわよ。」と、言うような時代だったようです。<BR>やはりその頃は理解も少なく”理解者”の訪れなど千に一つあるかないか。のような感じだったのでしょうか?<P>そんな中で必死でやっちゃんを育てたお母さん、そして家族、先生の中でいきたやっちゃん。<BR>臭い感動ドラマではなく!とも、本当に泣いてしまいます。<BR>「ふーん。」なんて一言で終わらせてはもったいないと思うのです。<P>最初にある”お母さん 僕が生まれてごめんなさい”という詩はやっちゃんのつくったとてもかっこつけてる今の日本人にはかけないでしょう。<BR>見た人の中にスッとはいって素直に考える。どこも飾ったり、感動させようなんて考えてつくってないのです。ただ思いつくままの素直な言葉なんです。<P>いまは乙武さんの「五体不満足」等の著書で理解は深まっているのでしょうが<BR>やはりまだまだなんでしょうね。<P>いつかこんな風に考えて生きる子ども達がいないように。とおもいます。

このような本を読んでいつも思うのですが、今そこにある問題や困難な出来事に自分は日々正面から向かい合っているだろうか、ということです。障害を持つ子を育てる身になったり、自分自身に障害があったりと、避けては通れない出来事をきちんと受け止めて生きていく。そんな生き方に対する一つの答えがこの本の中にあるのではないでしょうか。

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お母さん、ぼくが生まれてごめんなさい
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