いろんな意味で、最高の反面教師だと思う。<BR>こんな人間が知識人を気取れるということ自体が、日本人全体のレベルの低さを表している。<BR>この本のバカバカしいほどに片面的な歴史の捉え方、一方的でしかも浅い解釈。<BR>機械的に逆を行けばいいという点では、わかりやすい親切な本かもしれない。
この厚さでこの値段。<BR>公取委に、不当廉売で調べてもらいたい気もするが、まあ、大スポンサーがついているということなのだろう。<BR>本当に、内容に自信があるのなら、同程度の厚さの小熊英二の本と同じくらいの値段にしてみればよい。<BR>それができないのは、しないのは、この本が形を変えた日本の保守派のプロパガンダだからである。<BR>この本の基調は、あくまで「ニッポンヨイクニツヨイクニ。セカイニヒトツノカミノクニ。」であるが、そう言ってしまったら、半ピラ一枚で終わってしまうので、長々と手を換え品を換え言葉を換えて、この文句をくり返してこの大部に仕上げている。
この著者にとって、日本人というのは、そのへろへろの自尊心を、なでて、さすって、くすぐって、あとはおだててその気にさせて、ついでに景気よく進軍ラッパでも吹いてやれば、地の果てまでだってすっ飛んでいく単細胞として捉えられているようだ。<BR>たしかに、戦前の歴史だけを見れば、その通りであるかもしれない。だからこそ、このバカ国民には、同じ仕掛けが何度でも通用するということで、著者の歴史観の正しさを実証するために、この本を著したというのだろうか。