従来、限られた才能だけが面白いストーリーを作成できるとと思われてきた。その技術を、工学的手法で要素に分解し、暗黙知であったものを言葉として提示した本である。<BR> それゆえこの本は、プログラミング教本の如く、懇切丁寧で曖昧さが無い。<P>まさしくハリウッドの如く良質なエンターテイメントを「生産」することに特化した本である。それゆえにキャラクター小説からゲーム、漫画などでのシナリオ作成に力を発揮するだろう。<BR> ただし自分探しのためや作家になりたくて文を書いている人には向かない。あくまでエンターテイメントを提供しようとする人の為の本であるためである。
例えば、「タイタニック」。現在のローズが、ラストで宝石を海に還すシーンを見たとき、「いい脚本だな」と思ったと同時に「これって才能というより、知ってれば誰にでも出来る技術じゃん」というような、ひねくれた視点を与えてくれるのがこの本です。この本を読むことで、シナリオにふれる際、どこまでが技術で、どこが尊敬すべき才能なのか、という「知ったかぶり脚本批評」が出来るようになります。<BR>というのも、文中に「ストーリー工学」とあるように、本の中では良い脚本を作るための、様々な「技術」が明らかにされるからです。<BR>その意味で非常に実践的な「バイブル」です。