本書は作者も留学経験・国際機関勤務経験があるようで、非常に実践的な内容となっている。特徴は主に3つある。①アメリカ・イギリスの大学院の内容が日本語で得られる。留学希望者の情報収集は難しいのでそれを助けてくれる。②専攻別の内容はわかりやすい。国際機関で求められている専門分野の特徴をのべ、その専攻がある大学院のリストはかなり有効。③現在・過去において国際機関勤務者のコラムがあり、どういう職場なのか、どのような経歴が求められているのかがわかりやすい。以上が特徴だが、足りない点は合格者のプロフィールをもう少し詳しくのせてほしかったといえる。
インターネットがここまで普及したとはいえ、国連への就職に関する情報をここまで体系的にまとめている本はほかにはない。国連に就職を考えている人々には非常に役に立つはず。<P>一方で、非効率、官僚化とうの国連が様々な問題が指摘されている今日、やはりある程度国連に対する否定的な見解も合わせて掲載することも望まれる。
初版が力作なので改訂版にも期待していたのに、今回は取材不足ですね。噂や伝聞をそのままワープロ打ちしたような記述も初版に比べて目立つ感じ(特に待遇面)。個人的に残念。でも、機構改革に伴うリストラと人事制度変更で混乱した90年代の国際機関を取り巻く情勢を考えると、この程度のまとまり具合で上出来なのかも。<P>大好きな企画なので次回の版に期待。けれど、2~5年の定期雇用契約が一般になりつつあり「キャリアとして国際公務員」はこれからなくなっていき「国際公務員を目指す」ということが時代遅れのモチベーションになる可能性もあるから、難しい課題でもあるかも。<P>でも、やはり「一回は国際機関で勤めてみたい」という人には必読の書。批判的に読むことをお勧め。