十数年前に駿台京都校で表三郎の授業を受けた。当時から彼は伊藤和夫とならんでカリスマ講師として君臨し、彼の授業を受けた学生は三ヶ月後にはマルクスの資本論を買うといわれていた、名物講師である。その授業は評判に違わず示唆に富み、また独特の魅力で聞くものを引きつけた。精神的に不安定な学生にたいし、圧倒的な人気を得ていたのは、まさに彼の哲学というか、ものの見方に対して明快な主張をもっていたからである。彼から英語のみならず、生き方、ものの見方を学んだ学生は数知れないだろう。<P> さて、このように、すくなからず私の人生に影響を与えた人間が、10年ぶりに本をだすということで、早速買ってみてた。やはりというか、彼の考え方の基本は、すべてのことに対して「なぜ」と問うことであるということが分かり、妙な感動を覚えた。彼の魅力の原点はここにあったのだと再確認したのである。私が好きな大前研一さんも同様の内容の本をだしているが、やはり人を引きつける人、魅力的な人というのは、常識と呼ばれる典型的な思考パターンを疑い、そこから独自の視点を導き出すという傾向がある。まったくビジネス界とは疎遠であり、かつ、有名な左翼活動家でもある表さんが結果的に大前さんと同じ事を言っているのがおもしろい。<P> 予備校講師という、一般サラリーマンからしてみればなかなか接点のない職業の講師が書いた本ではあるが、その視点、着眼点は、非常に示唆に富んでおり、ぜひサラリーマンにも読んでもらいたい。彼は、一月に数百万円も本を購入するほどの読書家ということらしいが、??のエッセンスを味わえるおもしろい本だ。スーパー英文解釈も良いが、表節を味わうことは、予備校生だけの特権ではないだろう。
他のレビュアー同様、筆者も二十数年前駿台で表氏の講義を受けた者です。当時の彼の人気ぶりは凄いもので、彼の余談の「テープ起こし」が学生間で回覧されていました。確か「マルクス論・3部作出版します。」と言っていたぞ。今になっても「表三郎」の名前だけで本を買ってしまうのだから、彼の影響力というのはやっぱり強かったのだな、と感じています。筆者にとっては、「タイムカプセル」のようなプレゼントです。内容に関しては、Liveな「表節」をご存知の方とそうでない方で評価が分かれると思いますので、無難な星3つにしておきます。駿台卒業生のための本かな?という感もあり。
先生が学生運動を指揮した大学に入り、講義も受けたが、やはり表先生ほど聴く人の心を捉える話をできる教授はいなかった。この本で初めて知ったのだが、大学に入学するのにこれほど苦労されていたとは。やはりエリート街道を挫折なしに進んできたわけではないからこそ、魂を揺さぶる話ができるのだろう。<P> ちなみに私は大前研一氏が好きで、読後二人の思考は似ているなぁとふと感じたのだが。