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天皇の玉音放送 ( 小森 陽一 )

 終戦の詔勅のCDにつられて買った。<BR> 第2章で終戦の詔勅の全文と、著者の考えが披瀝されている。アジアに対する戦争責任が曖昧であると指摘している。ポツダム宣言を早く受諾していさえすれば広島・長崎への原爆投下やソ連参戦もなかったと書いている。<P> 第3章以下でマッカーサー体制の下で、天皇の戦争責任を回避し戦争責任を軍部だけに押し付けることによって、戦後の統治をスムーズにしたことが批判的に記述されている。著者はこれを欺瞞的という筆致で書いているが、米国のイラク攻撃後のイラクの混乱を見るに、日本における日米首脳の巧妙な手法は結果として良い選択肢であったと思った。<P> 日本国憲法制定過程については、古関彰一の研究を引用して、マッカーサーが天皇制を守るために戦争放棄条項を入れたとしている。マッカーサーには占領政策を実施する権限はあったが、占領政策を決定する権限はなく、その権限は極東委員会にあった。特に憲法のような重要事項は極東委員会の権限とされていた。そこでマッカーサーは極東委員会が活動を開始する前に、天皇の地位を残し、かつ極東委員会(ソ連や中国もメンバーに含む)も結果的に賛成せざるを得ないような思い切った平和的・民主的憲法を極東委員会より先に作ってしまう必要があった。ここでマッカーサーは昭和天皇が主導権を握って平和主義と民主主義に徹した憲法をつくったということにして、これを連合国に伝えたというのである。<P>第6章の後半から終章にかけては政治評論の色彩が濃くなりいささか辟易した。例えば以下のとおりである。<P>「これまで論証してきたことを通して、戦犯ヒロヒトと、彼を支える日本の保守政治家たちが、敗戦のその瞬間から、日本列島に生きる人々の、安全と権益を、一貫してアメリカに売り渡し続けてきたことだけは明らかになった。しかも、この路線は、イラク戦争をいち早く支持し、「武力攻撃事態」関連三法を通過させ、「イラク特措法」によって自衛隊を戦場に送り込もうとしている、小泉純一郎政権の下で、ますます加速されているのだ。(P270)」

歴史的事実を歪曲し日本の侵略戦争を美化しようという近年の風潮は異常である。「新しい歴史教科書をつくる会」の動きなどにその顕著な例が見られるが、著者は、その淵源を天皇の玉音放送に読み取っている。この本を単にCDのおまけのように扱う向きもあるが、それは著者も言うように、天皇の戦争責任をあいまいにしようという欲望の表出にすぎない。著者の論にもっと誠実に耳を傾けるべきであろう。

殆どの方が通して聞いたことがないであろう、終戦の玉音放送が収録されたCDは必聴(他でも手に入るとは思いますが)。この本を買った人の多くはそれが目当てではないだろうか。<BR>内容は、正直、お粗末。一線の学者が書いたものとは思えないほど、資料分析がいい加減で、恣意に満ちている。少しでも昭和史を齧った人にとっては、読むに耐えないだろう。<P>例えば、ポツダム宣言受諾が事前に漏れたらクーデタが起こるとの昭和天皇の発言を挙げ、単純に「自己保身の為」と斬って捨てている。これは戦争継続を望む陸海軍の若手が、天皇を逮捕、政府を転覆し、戦争継続することを憂慮した発言だというのが、学会の定説である。<P>思想性は本人の自由だが、資料を読み込まないで書いた歴史書ほど、無残なものはない。

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