トップダウンアプローチというと、投資信託やヘッジファンドなどで採用されている手法で、個人投資家には無縁のものと思っていました。しかし、本書では、「個人にでも簡単に入手できるデータを用いて、そうした分析が可能だ」ということを教えられます。<P>まず、マクロデータによる景気分析、マクロ分析からセクターの選択、セクター分析から銘柄選択と順を追って解説されています。景気予測の方法では、どういう経済指標をどう入手して、どう分析するかが詳述されています。セクターの選択では、好況、不況別に回復+拡大期、回復期、収穫期のリターンを分析しています。かつて、このような優れた分析を読んだ記憶がありません。これほど優れた分析をする著者の輝くばかりの優秀な頭脳に脱帽です。<P>また、活字も読みやすい上、重要なポイントは太字にしてあるなど、読者に対する配慮が非常に行き届いています。最近ではデイトレードばやりで、猫も杓子も短期売買に走っていますが、そうした時期だからこそ景気動向を分析した上で、セクター、銘柄を選択するという腰の座った<P>投資方法に注目したいと思います。最近出版された株式投資の本の中では、ピカイチの1冊です。
トップダウンアプローチ、景気予測、マクロ経済などと言われると、どうも数字の羅列で、かつ、専門家の予想もあてにならないという印象があり、抵抗感が強くあった。個別銘柄についてあれこれ考えるのはイメージしやすいのだが、景気予測と言われると、なにかしら難しいというイメージがあった。<P>本書は、景気予測は難しくないし、労力を省くという意味でも有用ということをわかりやすい例え話もまじえながら説明している。また、具体的な発表される指数を用いての景気予測の例や同一セクター内での個別銘柄選択方法についても解説している。最後にまとめてある各指数の意味やそのマーケットの影響についての説明は参考になる。<P>なかなか具体的なイメージを持って理解しにくい部分はあるが、株式投資を行うにあたって、方法としてこうしたアプローチがあることを理解しておくことは意味があるだろう。今後は発表される指数とそのマーケットへの影響について注目してみようと思う。